パート1国(続き)―なる基準は

昨日の続きです.多くのサラブレッドが(競走目的・繁殖目的で)日本に輸入されてきていますが,その売買の基準の一つがその馬や親馬の戦績.買う人にとって,その馬の戦績の見方が分からなくならないように,ある国の格付けは別の国の格付けとまあ似たようなもんじゃない,と基準を定めて国の分類をしたのが,パート1などということです.国境を越えた売買が盛んであるゆえ,生じた必要性なのですね.言っちゃなんですが,このくらいです.国内競走馬の引退後の主な売買が国内である限り,日本がパート1になったとしても実際のところそれほどの変化はないのでしょう.国際的な売買が増えれば,話は変わってきますが.
とはいえ,JRAはパート1を目指しているようなので,パート1国になるにはどういう点を満たす必要があるでしょう.1985年に8カ国がパート2からパート1になっており,この審査をした際に非常に大雑把に,3つの項目が示されています.

International Cataloguing Standards Committee
1.競走馬の数,レースの数が十分で,主要国と同様に賞金の分配がちゃんとクラス分けに応じてなされていること.
2.「ブラックタイプ」に相応しいレースの数や割合が,その国のレース体系と整合性を持ち,既存のパート1国の「ブラックタイプ」レース比率と不均衡でないこと.
3.「ブラックタイプ」レースは,実際にその国で最高クラスの競走であること.

また,1992年,ウルグアイはパート1国からパート2国になりました.その要因として,
・グレード・リステッドのレースの数が減ったこと.
1.の競走馬数とレース数は,他の主要国と渡り合っていると思います.3.のブラックタイプ競走がオープン競走かは,これも議論の余地はないと思います.問題は2.なのでしょうね.初めのレース比率やレース体系は,特に問題はないと思います.後半の既存パート1国との比較.ここでレースの国際化が引っかかってくるのでしょうね.
パート1の米国の重賞競走の基準は,I.賞金総額が7万5千ドル以上,II.2年以上同じ条件で施行されること,III.施行団体などが薬物検査をちゃんと行うこと,IV.年齢・性別以外での制限がないこと,以上の4点です*1.これを基本線に, American Graded Stakes Committeeが毎年11月(2005年は12月1日)に過去5年の競走を見てグレードを審査しています.
日本はI,IIIは満たしていると思いつつも,新規G1が増えたりしているのでIIが微妙かも.ビクトリアマイルなんて,米国基準だったら明らかに今年はG1でないでしょうね.ですが,一番のネックはIVですか.随分「国際」競走が増えたとはいえ,まだまだ出走制限枠の多い現状,これがどう評価されるかですかね.枠で縛るということは,アグネスデジタルが勝った時の天皇賞クロフネが排除されたのと同じような可能性が残りますし.より質の高いレースを求めるのなら,やはりクロフネが排除されるような制限は取っ払ってもらいたいものですよ.また,中日新聞杯の父内国産限定なんてかなりやばめの条件.
ということで,解決案の一つの手は,「国際」競走でないレースのグレードを外す.もう一つは,年齢・性以外の制限を取っ払う.どちらかですかね.カナダは前者で3歳3冠路線体系を作ってます.まあ,JRAは自分の格付けを否定したくないでしょうから,前者の路線はなさそうですけど.