パート1国(続き2)―ありえる問題点

色々なところでコメントをいただけたようで,ありがとうございます.いやまあ,年齢・年代的なものではなくて,まだ幼稚産業保護的・セーフガード的な規制が必要な産業なのかなと思って,開放の方に流れているってところですかね(若いと開放になびきやすい…のかなあ.私はもう若くはありませんが).JRAという,いわば競馬の上層の,しかもオープンという最上の勝ち抜きクラスでのごてごてした規制がどうなのか,ということなのですよ.別に下級条件戦や地方競馬の規制を撤廃しろって言うわけじゃないし,パート1の要件でもありませんし…
で,昨日はパート1になることについて「このくらい」と書きましたが,これは不十分でした.今日は,パート1になる(というかレースの開放ですね…)ならばどんなところに問題点が出るのかについて.

まず,オープン競走の制約がなくなることで,事前に優秀と目される元規制対象の登録馬,あるいはどうせ出られないと諦念にあった競走馬が障害なく出られます.ここでいう制約は,地方所属馬の制約も含まれます.コスモバルクの2004年は,当初天皇賞春を目指して日経賞,しかし惨敗でしたが,後に天皇賞を勝ったマンハッタンカフェとて日経賞を惨敗しています.コスモバルク日経賞の着外となり,中央で稼いだ賞金は足りているはずなのに地方所属ということで天皇賞には出られませんでした.逆に,地方だけで無茶苦茶稼いだ馬が,何のJRA実績もないのにG1出走というのも,おかしな話かもしれません.従って,国際化といいつつも,制約を外すということは地方競馬とのレース体系と賞金体系の統一化というのが問題点として挙げられます.これは昨日のICSCの項目の,1.の賞金の分配と2.のレース体系の整合性に関わってくるものですかね.昨日は筆が滑って,あまり問題なさそうみたいに書いてしまいましたが.
また,地方馬主がJRAの制約のないレースに挑戦し続けるとするならば,事実上その馬の馬主はJRAの馬主であるようなものです.この点から,国内での馬主の基準に対する問題点が挙げられると思います.

  • 獲得賞金の扱い

次に,賞金の諸外国との比較というのが挙げられます.地方競馬JRA競走と賞金やレース体系で比較ができていないのと同様,諸外国は日本競馬との比較ができていません.例えば,パート1に遠征する時,現状では日本での獲得賞金は扱われず,賞金による除外の可能性が発生する,ということがありえます.確かスキーキャプテンケンタッキーダービーに遠征した時に問題になったことと思います(フルゲートにならなかったので出られた).まあ,招待競走やクラシフィケーションで出走馬を決めるレースを選べば良いのかも知れませんが.逆にパート1となって日本の高額賞金が国際的に認められるとなると,日本馬が外国のレースに出る際はほぼ除外が機能しないということとなる可能性もあります.ということで,賞金加算方法の問題点.

  • 海外馬による長期遠征・転籍

制約がなくなるので,諸外国の馬が日本に遠征にやってくる際のパターンを考える必要があります.一つは単発での参戦.本番レースに単発で来るか,プレップを含めて短期で来るかです.この場合は現時点の適用をそのまま当てはめれば,まあ手続き上の問題点はそれほどないと思います.
で,もう一つは長期での遠征.エルコンドルパサーとかマルターズスパーブのような形を日本が引き受けるかです.そうなってくると,外国人馬主の問題だったり厩舎の預託の問題だったり.極端な話,馬主登録の甘い国で馬主になり,競走馬登録を外国で行って日本に持ってきて,「この馬は長期遠征中なんです」なんて言い張れば,事実上日本の馬主です.一つ目の項目でJRAと地方の馬主について述べましたが,同じように日本と海外の馬主基準に対する問題点が挙げられると思います.また,稼ぎの良い馬が長期遠征となれば,受入厩舎も必要でしょうし,その際の賞金の分配(個別契約かなあ)とか.
更には,転籍.現時点では日本で登録したことのない外国で競走経験のある馬は,遠征以外は走れなかったと思いますが,長期の遠征が認められるならば,日本の馬主が外国の馬を買い取って日本に遠征させて稼ぐなんて形態も考えられるわけです.