何ともなしに,夏目漱石『こころ』,太宰治人間失格』,吾妻ひでお失踪日記』をはしごで読みました.
『こころ』は,読んだの高校の時以来ですねえ.うちの高校,かなり自由な読む方をするってとこでしたけど,それでもどうしても授業で読むってのは強制された感覚があって,あまり印象に残ってなかったところでした.再読して,やっぱり高校生くらいではこの小説,感覚が理解できなかったと思いました.嗚呼,ダメ人間.このダメさを高校生に理解させようってのは,教育上いいのやら.「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」「僕は馬鹿だ」「(残り墨で)もっと早く死ぬべきだのになぜ今まで生きていたのだろう」
人間失格』は,自分でも覚えてないくらい前に読んで,十数年ぶりの再読です.昔読んだ時は何がなんだかよく分からなかった記憶がありますが,今読むと,良さ(なんだか悪さなんだか)が分かる気がします.しかしこう言っちゃなんですが,「人間,失格」ってほど,この主人公はダメなんでしょうかねえ.変に他人のことを気にしちゃ気に病んで遊びまわる割にゃ,遊ぶ金欲しさにそれなりに働いて,曲がりなりにもそれなりの漫画家になれるって,案外悪くはないんじゃないかねえ.人間失格の基準といい,時代の違いなのでしょうか.なにせ手記が残せるんですし.「流行漫画家上司幾太」「情死の相手の名前をさえ忘れているような自分なのです」「もはや,自分は,完全に,人間でなくなりました」
で,『失踪日記』.『人間失格』は人間関係の中でのやばさが描かれてますが,『失踪日記』は人間関係がダメになった上でのやばさが描かれてて,はしごで読んで気分相乗.結局両方ともアルコールに行ってしまうところは共通ですが,『失踪日記』は流石にアルコール以上の薬物には行っていない.ひょっとしたら,『失踪日記』を期に,吾妻ひでおは現代の太宰治になれるのかも知れない(ベクトルが違うけど.本当に悲惨なところは描かないみたいだし,笑いが基本みたいだし).ただ惜しむらくは,私にとって食べ物の描写が全然ダメってとこかな.いやしかし参ったなってのは,この人と誕生日が一緒ってことかな.ある種の占星術で,行動パターンが共通するって出るんでしょうなあ,私(笑)