Silky Sullivanと賭けの効率性

史上最強の追い込み馬コンドルは飛んでゆく
当備忘録の2006年9月6日にて触れたことのある,Silky Sullivanに関する日本語の記事を見つけました.いやー,改めて凄いですよね.
上のリンク先の最後に「また学会の論文などにも引用されることがあるそうで」とありますが,私が見たことのある論文は2本.

  • Hausch, Ziemba and Rubinstein "Efficiency of the Market for Racetrack Betting" (リンク先,docファイル)
  • Gramm and Owens "Inefficiencies in Parimutuel Betting Markets across Wagering Pools in the Simulcast Era" (リンク先,pdfファイル)

"Silky Sullivan" problemと呼ばれています.逆に,2着3着ばかりでそこそこやる割に1着にならない馬として,後者の論文ではGrey Memoを挙げています.日本ではステイゴールドが真っ先に挙がりそうですね.
で,学術論文とはいえ,両方とも賭けの単勝複勝の効率性についての論文なんですねー.競馬を題材にしているわけです.単勝オッズから示唆される複勝オッズが全うなものかどうか.全うなオッズ付けじゃなければ,単勝オッズから示唆される簡単な「儲けの機会」がありますからね.両方ともこういう機会があるって発見の論文なんですが,学術論文でやっている計算だけに,競馬場内やWINSで計算するには随分大変な非効率性です.あまり実践には役に立たなさそう.どういうところでSilky Sullivanが出てくるかといいますと,単勝オッズから複勝オッズを作成する際に,Silky Sullivanのような馬だと単勝売れて複勝売れずだし,Grey Memoのような馬だと複勝売れて単勝売れずですから,バイアスを発生させて問題になる,という言及なんですね.